監査役と社長と内部監査部門
内部監査部門と監査役の関係を考えている。内部監査部門は社長直轄が基本だ。社長の目となって、社内各部署の内部統制を評価するのだ。一方、社長は取締役でもあり、監査役に監督される立場である。社長にとって、監査役と内部監査部門が連携することはあまり気分の良いものではないのかもしれない。私の経験の範囲では、社長の直轄でありながら、社長が監査に注文を付けることはほぼなく、監査役と等距離の関係でいられた気がする。
内部監査部門と監査役の関係を考えている。内部監査部門は社長直轄が基本だ。社長の目となって、社内各部署の内部統制を評価するのだ。一方、社長は取締役でもあり、監査役に監督される立場である。社長にとって、監査役と内部監査部門が連携することはあまり気分の良いものではないのかもしれない。私の経験の範囲では、社長の直轄でありながら、社長が監査に注文を付けることはほぼなく、監査役と等距離の関係でいられた気がする。
内部監査部門と監査役の関係を考えている。会社法に基づき、監査役は取締役の業務執行を監査する。取締役の業務執行は「ガバナンス」が中核である。ガバナンス体制は全社に及ぶが、少人数の監査役が全社をくまなく見ることは不可能なので、内部監査部門の監査結果に頼ることになる。そういう意味で、内部監査部門は監査役の能力を補うことを期待されていると考えられる。ということは、内部監査部門は監査役の手下ではなく、対等だ。
内部監査部門と監査役の関係を考えている。内部監査部門長の人事には監査役が関与すべきではないか、という議論があるそうだ。これは、一般には無理があると思う。監査役には、次の内部監査部門長に相応しい者を探す手段がない。ただし、現内部監査部門長が相応しい者か否かを評価することは、一定の期間を経れば可能である。内部監査部門長が相応しい者ではないと判断したときに意見を言うのは、監査役の通常の役割の範囲である。
内部監査部門と監査役の関係を考えている。よほどの大企業でなければ、監査役にスタッフはいないので、監査役が内部監査部門に監査役監査の記録係などを依頼することがある。部員が複数いる内部監査部門であれば、部員に対応させることで、さして支障はなく、教育的効果もありそうだ。一方、内部監査部門が部門長だけのときは部門長が監査役監査に同席することになる。内部監査部門長が監査役の手下のようで、これはまずいだろう。
内部監査部門と監査役の関係を考えている。内部監査には国際基準があり、公認内部監査人(CIA)などの制度もある。ところが、監査役には監査役監査基準はあるが、認定制度等はない。内部監査も皆が国際基準に精通しているわけではないが、監査役はそれ以上に能力や考え方のバラツキがあるだろう。ただし、株主に対する責任が、真摯さの支えになっている。社内での立場は監査役が一段上になるが、協力関係においては対等でありたい。
内部監査部門と監査役は協力すべきだ。内部監査と監査役監査は、対象や目的は異なるが、活動や情報が重複する部分があり、効率と効果の観点から、協力することが期待される。そのために、たとえば毎月あるいは必要都度、情報共有のための会合を開催する例がある。そのとき、内部監査部門から監査役へと同じぐらいの情報量を、監査役から内部監査部門へ提供すると、内部監査部門の監査がレベルアップし、経営層の関心に合ってくる。
内部監査人には、情報へのアクセス権が広く与えられる必要がある。ところが、簡単に情報が入手できるために、安易に扱ってしまう場合があるので要注意だ。取締役会の議事録を閲覧して得た情報と内部監査のインタビューで聞いた話が矛盾するときに、「取締役会ではこうなっていたけど」と言いたくなるときがある。ところが、取締役会での議論がその相手に開示されているとは限らない。開示の可否が分からない情報は出してはいけない。
たとえば、情報システム部門の内部監査を計画するときに、内部監査部内に業務知識を持つ部員がいないなら、他部署から適切なメンバーを入れるのがよいとされている。しかし、情報システム部員以外で情報システムの知識を持つ人はなかなかいない。そういうときは、グループ会社から探してくるのも一考である。特に子会社は、情報システム担当は幅広い知識を持っていることが多いので、適任かもしれぬ。経理部門や労務部門も同様だ。
内部監査報告書を作ってみたら、指摘・提言事項が難しくて、被監査部門にとって簡単にはできそうにない、ということがあり得る。そのときに、手加減をしてあげるべきだろうか。その答えは、指摘・提言の内容による。たとえばそれが法令違反だとしたら、難しくても改善してもらわなければならない。ところが、業務効率の改善だとしたら、難しいレベルまであげるのではなく、次の一歩としてふさわしいレベルを提案するのがよいだろう。
内部監査部長の会議出席には二種類ある。一つは監査結果を報告するなどの目的で一出席者となる場合、もう一つは内部監査の権限を行使して参加する場合だ。後者の場合は、オブザーバなので、その会議では発言をすべきではない。その会議に関し、客観性を失ってしまうからだ。しかしながら、その会議で不適切な決定がされそうなときに、黙っているべきだろうか。悩ましいケースだ。賛否を言わず、情報提供のみするという方法もある。
最近のコメント