一人内部監査部門の悩み 精神的・業務的負担が大きい
一人内部監査部門の悩みの八つ目、最後は精神的・業務的負担が大きいこと。一人なので、監査記録作成や事務処理を含むすべてをこなさなければならない。スケジューリングは、仕事を詰め込みすぎないように注意しよう。インタビューのあとには資料やメモの整理をする時間を取り、勤務時間の2割ぐらいは事務処理と突発的業務のために時間を空けておく。加えて、困ったときに相談する相手を作っておくとよい。狙い目は監査役だろう。
一人内部監査部門の悩みの八つ目、最後は精神的・業務的負担が大きいこと。一人なので、監査記録作成や事務処理を含むすべてをこなさなければならない。スケジューリングは、仕事を詰め込みすぎないように注意しよう。インタビューのあとには資料やメモの整理をする時間を取り、勤務時間の2割ぐらいは事務処理と突発的業務のために時間を空けておく。加えて、困ったときに相談する相手を作っておくとよい。狙い目は監査役だろう。
一人内部監査部門の悩みの七つ目は、監査対象部門から改善についての相談を受けたときの対応。その部署の次の監査のときに、自分がアドバイスした改善結果に問題があっても指摘しにくくなる。そこで、相談を受けたときに言っておこう。一緒に考えて提案はするけれども、それを採用するかどうかはあなたの責任ですよ、もしその結果に問題があれば次の監査では指摘しますよ、無責任に見えるかもしれないが、監査はそういうものですよ、と。
一人内部監査部門の悩みの六つ目は、監査品質の維持・改善が難しいこと。監査の経験がない人が参考書を片手に務めているケースもある。「グローバル内部監査基準」はぜひ押さえておきたい。「一人でどうやる?」という項目もあるだろうが、知って意識するだけでだいぶ違う。それに加えて、可能なら外部評価を導入したいが、予算が少ない一人監査部門にとって、費用が掛かりすぎる。少人数・短期間で安価に済ませられる依頼先を探したい。
一人内部監査部門の悩みの五つ目は、経営層との対話不足。一人の内部監査部門ということで、軽視されがちだ。そこで、内部監査報告を経営会議や取締役会で定例化することと、社長や監査役とは定例のミーティングをもつようにしよう。監査報告を会議で行うと、その場で社長から当該部署の担当役員などに改善の指示が出て改善が進む。監査役は、監査報告書よりももっと細かい情報を知りたがっている。きっと、双方のプラスになる。
一人内部監査部門の悩みの四つ目は、内部監査で全業務を網羅できないこと。監査担当者の数が足りないからだ。しかし、考えてみてほしい。そもそも、内部監査で全業務・全組織を網羅する必要はない。誤りや不正のリスクが大きい業務を押さえれば十分なのだ。管理部門の協力を得てリスクアセスメントを行い、重要なリスクがある業務・組織を絞り込むのだ。ただし、組織の環境は変化する。リスクの重点は移ろいやすい。毎年の見直しは必須だ。
一人内部監査部門の悩みの三つめは、独立性・客観性が危ういこと。たとえば内部監査担当が総務部兼務という場合、総務部の監査には独立性がない。内部監査部長が総務部長兼務で、内部監査の実務は別の内部監査部員が担う場合も同様だ。こういうときは、総務部の内部監査報告書には兼務の状態と独立性がない旨を表示するべきだ。社外取締役などが読んだときに分かるように。そして、内部監査担当が担う総務部の業務は、内部監査の対象外とする。
一人内部監査部門の悩みの二つめは、専門知識が偏ること。経理・ITも業務も経験した内部監査人はなかなかいない。この点は、一人でも数人でも悩みは同様で、これ自体はどうしようもない。実務経験がなくても、監査できる程度の知識を得るよう努めることだ。経理には会計監査があり、製造には品質マネジメントの監査があるので、それらと連携することも有意義だ。頻繁には難しいが、必要時には外部の専門家を招聘することも考えるべきだろう。
一人内部監査部門の悩み(2)
一人内部監査部門の悩みのひとつめは、内部監査が軽視されてしまうこと。経営層からの期待や各部からの協力を得られない状況だ。そうならないためには、内部監査の意義を経営層や管理者層に理解してもらう必要がある。会社をよくするための内部監査であることを内部監査規程に定め、経営者への監査結果報告や改善実施までの流れを内部監査のたびに説明するのだ。また、社内報などによる内部監査の実施状況や改善の実施例の周知も有効だ。
一人しかいない内部監査部門がある。あるいは、内部監査部門に二人いるけれども、部長は他の部の部長を兼務し、監査実務は部員一人が担う場合や、部員が他の部と兼務の事務担当で、実地監査は部長一人が担う場合もある。一人の内部監査部門でも、複数メンバーの内部監査部門と同じ悩みも抱えるが、一人であることに起因する独特の悩みや、一人だから重みを増す悩みがあり、部内には相談相手がいない。それらの悩みについて連載を開始する。
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