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2025年7月16日

ERPで経営と業務のレベルアップを図る

SAPは、前提とする業務を「ベストプラクティス」と呼んだ。「SAPがベスト」ではなく、世間のベストに合わせたのだ。SAP固有の業務要件ではなく、教科書で学ぶことができる業務だ。それを、学ばない人は「使いにくい」と言い、「SAPに合わせる必要はない」と言う。一方、学ぶ人はSAPをきっかけにして教科書に取り組み、知識を広げ、業務をレベルアップする。学ぶ人を増やすには、トップが学んで経営のレベルを上げることが早い。

※このシリーズはこれで終了にします。ここでは私の身近にあったSAPを取り上げましたが、多くのERPにあてはまることが多いと思われます。

2025年7月15日

ERPが実現する業務の透明性

SAP導入後、交際費をごまかしにくくなった。かつて、経費の伝票は精算が終われば誰も見なかったが、SAPの経費伝票は処理後も数年間閲覧でき、電子帳簿保存により領収書や交際費伺も添付される。誰かが、予算管理などの目的で経費の内訳をみるかもしれない。いつ、誰に見られるか分からないので、ごまかしのある経費伝票は残しにくい。様々な業務で、ERPにより時間と空間の両面で透明性が実現できて、コンプライアンスを支える。

2025年7月14日

SAPが支えるコンプライアンス

SAPは、コンプライアンスの面でも効果がある。たとえば、売上の架空計上を考えてみる。架空の受注を登録すると、多くの関係者にその情報が共有される。出荷準備の登録をすると倉庫や運送会社へ情報が出力される。秘密裏に架空の売上を上げるためには、多くの関係者を黙らせる必要がある。それは無理だ。部外者に伝わらない伝票を登録できないことはないが、逆にすごく目立つ伝票になって、経理部や監査法人に対しては隠し通せない。

2025年7月13日

SAPは事務担当者のキャリア

SAPは、使う人からの評判は悪くないと書いた。操作が標準化されているので、部署を異動するときだけでなく、他社に転職しても、さらに業種が違っても、SAPを使う人はSAPで業務を遂行でき、業務用語も理解できる。業務が標準的なので、教科書で業務を学習することもできて、ステップアップを狙える。したがって、SAPを利用した経験は、事務担当者にとってのキャリアになる。ただし、SAPを標準のまま使うことが前提条件となる。

2025年7月10日

SAPでは部署専用画面の開発は(ほぼ)必要ない

SAPの標準画面は、多様なケースを処理するために、データ項目が多い。個別の伝票処理には不要な項目が多く、項目を選んで入力するので、部署専用画面を使うよりも時間がかかる。伝票数が多い事業の場合は、伝票処理に時間がかかりすぎることがある。その場合は、RPAまたは手入力でExcelにデータを入力し、関数で標準画面に合うように編集して、流し込むことができる。標準画面のチェック処理も使える。部署専用画面なしで解決だ。

2025年7月 9日

SAPの製造原価管理は原価低減を究めるのみ

SAPの製造原価管理への文句が多くなるケースの一つが、ひとつの工程で複数事業部の製品を製造するときである。ひとつの事業部の生産が落ちると、その工程の固定費は他の事業部へ配賦され、利益を削る。だから、固定費の配賦が気になるのだ。この解決は、その工程で何を生産すると全社の利益が最大化するのか、という方程式を解くことである。これは、製造原価管理の問題ではない。製造原価管理は、いかに安く作るかを究めるものだ。

2025年7月 7日

ERPが管理のレベルアップに結び付いた例

SAP導入後に製造原価管理を学び直して成果を上げた部長がいる。彼は、学び直した原価管理の知識を関連部署にも広め、事業全体の管理レベルを上げ、必要時には原価マスターを見直し、製造原価低減を推進した。その事業はもともと付加価値が高いという特徴があったが、製造原価低減と併せて販売方法の見直しも並行して進められた結果、その事業の利益の伸びは際立っていた。ERPを成果につなげるにはリスキリングが前提だと言える。

2025年7月 6日

ERP導入後のリスキリングは大事

SAPへの文句が多いのは、たとえば製造原価管理だ。SAP導入前は工程別組別総合原価計算により「実際原価」を求めていたが、原価管理の教科書には「原価管理には標準原価計算が必須」とあり、SAPは標準原価計算しかできない。ところが、「標準原価では原価管理できない。実際原価が必須」という意見が止まず、固定費の配賦を気にする人ばかり。原価管理を学び、理解した人は数えるほどだった。ERP導入後のリスキリングは大事だ。

2025年7月 3日

SAPは、使う人たちからの評価はそんなに悪くない

SAPは、使う人たちからの評価はそんなに悪くない。登録に時間がかかるという意見は聞いた。入力項目は前より増えるし、画面には使わない項目が多く、それを飛ばす操作は煩わしい。一方、処理が標準化されるのは好評だ。特に、人事異動経験者が言う。購買業務であれば、商品を仕入れる取引も、事務消耗品等を買う取引も、製造設備を建設する取引も、同じ画面、似た手順で処理できてしまう。ついでに、業務用語も全社で統一できる。

2025年7月 2日

SAPを使いにくいという人たちの傾向

「SAPは使いにくい」と言ってくる人がいた。思い出してみると、SAPを直接使わないであろう人だった。部長100人のうちSAPを使わない10人が「使いにくい」と言い、他の人が何も言わなければ、自ら使わない経営者は使いにくいという評価を真に受ける。「使いにくい」という10人は、SAPを使わないだけでなく、自己流のレポートをERPからデータを拾ってExcelで作成するよう部下に命じ、業務の有効性も効率性も損ないかねない。

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