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2024年11月30日

行政への報告は「因果関係が明確な場合に限る」?

小林製薬の紅麹原料による健康被害の問題を振り返っている。健康被害の最初の情報から製品回収までに2カ月以上かかったのは原因調査をしたからなのだが、そうしたのは、行政への報告は「因果関係が明確な場合に限る」という方針を採ったからだ。この文言は規程等にはないが、なぜかこれを何度も確認したのに誰も疑問を言わず、相談した弁護士も妥当という意見だった。同一製品で問題が連続したら、原因は不明でも因果関係は明白だ。

2024年11月29日

紅麹の問題の被害拡大防止よりも優先したこと

小林製薬の紅麹原料による健康被害の問題を振り返っている。健康被害の情報を最初に受けてから情報開示や製品回収までに2か月以上かかったのだが、その間に彼らがしていたのは原因究明である。問題の製品ロットを絞り込み、原料のロットを突き止め、それに意図しない成分が含まれていたことが判明し、ようやく情報開示と製品回収を決断した。それよりも、健康被害の拡大防止が先だろうと部外者は思う。部外者の感覚が大事なのだ。

2024年11月28日

紅麹の問題は、なぜ取締役会に報告しなかったのか?

小林製薬の紅麹原料による健康被害の問題を振り返っている。健康被害の情報を最初に受けてから、その情報開示や製品回収開始までに2か月以上がかかった。その間に、月次の取締役会が開催されているが、この件を議論していないようだ。社外取締役がこの問題に関するレポートを読んだのは、情報開示の前日だったという。問題は、取締役会長も社長も多くの経営幹部も知っていたのに、取締役会で話題しなかったのが不思議でならない。

2024年11月27日

紅麹の問題で小林製薬に欠けていた消費者視点

小林製薬の紅麹原料による健康被害の問題について振り返る。紅麹関連製品による重篤な健康被害の報告は、一件目を受けてから20日も経たずに6件になり、うち4件は医師からだった。社長は、普段にくらべて異常に多い情報の報告を受け、幹部の会議では回収・終売の可能性に言及したという。なのに、消費者への注意喚起や行政への報告はその後一ヶ月以上されなかった。メーカが消費者の視点を持っていないと、こんなことが起こり得る。

2024年11月24日

SNSとテレビ報道を比較するか?

兵庫県知事選挙に関して、SNSとテレビ報道を比較してどちらが信頼できるか、という議論があるが、これは的外れだ。まず、SNSを通じて候補者の主張を編集なしで見られるのは歴然とした差である。次に、テレビ報道は系列の数が数個に限られるのに対し、SNSは膨大で、ピンからキリまである。キリが信頼できないことは誰にでもわかるし、中ほどを見ても信用には足らない。ピンのうち人によって異なる一つ、二つが信頼されるのである。

2024年11月22日

マスコミは一斉にデマに染まるときがある

兵庫県知事選挙に関連して、マスコミが報道について反省すると期待したが、そうでもないようだ。SNSにはデマがある、という彼らの指摘は正しいが、テレビや新聞にデマがないとは彼らも言わない。現実は、SNSは玉石混交だが、テレビや新聞が一斉にデマに染まることがよくある。一方、彼らはテレビには法律による規制があると言ったようだが、それは機能しておらず、現実には自主規制に委ねられている。彼らは分かっていないのか?

2024年11月21日

マスコミは倫理について考えるべき

兵庫県知事の選挙は、前県知事が再選された。マスコミが、県知事によるパワハラやおねだりの噂話で大盛り上がりをしたが、多くの人にはいじめのようにしか見えなかったということではなかろうか。パワハラの事実があれば、それを見た人から具体的な証言が取れるものだが、伝聞情報しかなかったようだし、おねだりの噂は些末な悪事でも批判の数を増やそうという意図だったのだろう。マスコミは、倫理について改めて考えたほうがよい。

2024年11月16日

コンプライアンスの日

多くの経営者が、コンプライアンスに関心がないわけではないのに、従業員にはコンプライアンスの話をめったにしない。言わなくても分かっていると思っているのだろうが、たいていのことは言わないと分からないものだ。経営者が業績の話ばかりしていると、従業員は業績のために不正を犯す。そのとき、経営者は従業員を守れない。不正を認めたことになってしまうから。年に一度は、コンプライアンスの話をする日を決めてはいかがか。

2024年11月15日

担当業務に関する法令は知っておこう

今やコンプライアンス意識はずいぶん高まったが、十数年前はひどいケースもあった。税務調査で交際費の不正な損金計上を指摘されたとき、営業部門責任者が「営業マンが税法を意識せずに済むように、経理部はしっかりサポートせよ」と言った。プロ野球選手は、野球のルールを知らずにプレイすることはない。営業マンも、営業活動に関連する税務、例えば売上高・売上原価、営業経費に関する事項ついては基本を理解しておく必要がある。

2024年11月14日

深夜のメール発信は困りもの

長時間労働について「上司なら気付けるはずだ」と書いたが、実は気付くことを難しくしている行為がある。深夜の電子メール送信だ。最近はスマホから会社のサーバへ接続してメールの閲覧や送信ができる。自分の受けたメールが深夜の発信時刻だと、まだ仕事をしているのかと心配になる。メール発信も仕事の一部なので、時間外にはしないに越したことはない。上司の立場からは、就業時間外のメール発信はやめてほしいところだろう。

※実際には、自分の部下よりも他社・他部署の人を心配します。上司は分かっているのかもしれません。

2024年11月13日

長時間労働から従業員を守ろう

NHKが、過去3年間に長時間労働による労災認定(過労死を含む)が複数あったとして当局から行政指導を受けた、というニュースがあった。会社には、従業員の健康や安全を保護するために必要な対策を講じる義務がある。実際にその義務を果たすのは、直接的には上司だ。長時間労働に上司は気付け、ということになる。実際の時間外労働が勤務記録よりもずっと多い状態があれば、上司なら気付けるはずだ。見て見ぬふりをしないことだ。

2024年11月11日

出納の丸投げは不誠実の極み

「ミスと不正の予防は従業員を守るためでもある」と書いた。従業員を守れないのは、たとえば出納を経理担当に丸投げしているときだ。普段は信頼できる従業員でも、万に一つは、家族の病気の治療に必要になったり、詐欺に引っかかったりして、大きな資金が要る事態が起こり得る。そのときに、会社の銀行口座から一人で現金を引き出せる事務になっていたら、いくら誠実な人でも犯罪に誘われてしまうかもしれない。それはあんまりだ。

2024年11月10日

電子メールによる秘密情報持ち出しの予防

電子部品メーカTDKの研究員が不正に研究データを持ち出したとして不正競争防止法違反で書類送検されたというニュースがあった。持ち出しは、社有PCからこのデータを添付した電子メールを私用メール宛に送るという手口だ。この持ち出しをITで完全に防ごうとすると、メール送信やデータ管理がかなり不便になる。妥当な範囲で防いだうえで、違法な秘密情報の持ち出しが検知可能だということを従業員に周知するのが現実的かもしれない。

2024年11月 9日

ミスと不正の予防は従業員を守るためでもある

群馬銀行の行員が、顧客に「新紙幣に両替する」と説明し、預かった五千万円以上を着服し、ギャンブルに使ったというニュースがあった。これを極端な例だと感じる人もいるだろうが、罪を犯さざるを得ないほど現金が必要になる状況は、誰にでも一定の確率で起こる。理由は、ほかにもっと深刻な状況もあり得る。そういう状況の人に不正の機会があったら、犯罪の教唆と同じだ。仕事でミスや不正を防ぐのは、従業員を守るためでもある。

2024年11月 8日

組織不正、やる・やらないの分水嶺

舶用エンジンの試運転での検査不正は三社から報告された。では、他のエンジンメーカはどうしたのだろうか。国交省は、三社以外の舶用エンジンメーカ18社に報告を求め、8社からは記録の転記誤り等が確認されたという。想像ではあるが、同じような製品同じ顧客に販売していれば、同じような習慣があっても不思議ではない。もしかすると、以前は同様であったが、何かのきっかけで改めたのかもしれない。その違いが知りたいところだ。

2024年11月 7日

上下関係が厳しい職場のリスク

舶用エンジンの試運転での検査不正について、職場の雰囲気が背景にあると推定される。大型の舶用エンジン工場は、高さが数メートルある高所作業があるなど、危険を伴う職場であり、安全指導の必要性から上限関係が厳しくなりがちだ。しかも、組織の階層が深くて、製造部門は課長の下にスタッフと職長がいて、その下に班長、さらに班員がいる。他の製造業と比べて、検査に疑問を持ったとしても言いにくい雰囲気だったと思われる。

2024年11月 6日

組織的な不正に気付けるのは部外者

不正が起こるのは、不正の「動機」「機会」「正当化」がそろったときだとされる。一般には、この3つのうち「機会」は業務を見直して減らせるが、「動機」と「正当化」の対策は難しい。一方、組織的な不正の場合は、「動機」と「正当化」は組織にあり、気付ける可能性がある。しかし、組織内の人にとっては「正当化」されており、そうする「動機」もあり、不正とは思わないだろう。気付けるのは部外者、たとえば社外取締役だろう。

2024年11月 5日

不正のトライアングルに対する再発防止策

舶用エンジンの試運転での検査不正が発覚した三社のうち一社の調査報告書には、本検査不正の「動機」「機会」「正当化」のすべてについて講じようとする再発防止策が説明されている。この三つ(「不正のトライアングル」)がそろったときに不正が起こるとされるので、再発防止のためには一つを防げば十分なのだが、うまく防げなかったときの備えなのだろう。一般に、「動機」と「正当化」は不正を行う当人の頭の中のことで、対策は難しい。

2024年11月 4日

舶用エンジンの検査不正の背景について推測

舶用エンジンの試運転での検査不正が発覚した三社のうちの一社で、不適切行為は陸上公試運転で行われ、社内確認運転ではなかったことが確認されている。彼らは、エンジン性能をごまかす意図はなく、船主等に見てもらえる陸上公試運転で格好よく見せたかったのではないか。以前はそれでもよかったのかもしれないが、2000年にこの試運転でNox放出量の計測が法令で求められることになった。時代の変化に対応していなかったということか。

※一般に、船舶の最終的な試運転を「公試」という。舶用エンジンの試運転にもこの用語が使われ、船舶の特別するために「陸上公試」としているようだ。なお、エンジンは受注生産で、そのエンジンを搭載する船の船主は受注時点で決まっている。

2024年11月 3日

検査不正防止対策としての計測・記録の自動化

今年、舶用エンジンの試運転での検査不正が三社で発覚した。共通するのは、燃料消費率(出力・時間当たりの燃料消費量)の改ざんだった。検査記録の改ざん予防には計測・記録の自動化が有効だ。しかし、舶用エンジンの生産台数は年に数台から十数台で、自動化は費用対効果の観点から採用されなかったのだろう。だが、今なら自動化の手段はいろいろありそうだ。既存の計測器の表示をデジカメで撮って、それをAIで数値化して記録、とか。

※そういうアプリがすでにあるようですが、評価していないので紹介は控えます。

2024年11月 2日

内部監査における秘密保持

内部監査人には、情報へのアクセス権が広く与えられる必要がある。ところが、簡単に情報が入手できるために、安易に扱ってしまう場合があるので要注意だ。取締役会の議事録を閲覧して得た情報と内部監査のインタビューで聞いた話が矛盾するときに、「取締役会ではこうなっていたけど」と言いたくなるときがある。ところが、取締役会での議論がその相手に開示されているとは限らない。開示の可否が分からない情報は出してはいけない。

2024年11月 1日

内部監査の臨時メンバー

たとえば、情報システム部門の内部監査を計画するときに、内部監査部内に業務知識を持つ部員がいないなら、他部署から適切なメンバーを入れるのがよいとされている。しかし、情報システム部員以外で情報システムの知識を持つ人はなかなかいない。そういうときは、グループ会社から探してくるのも一考である。特に子会社は、情報システム担当は幅広い知識を持っていることが多いので、適任かもしれぬ。経理部門や労務部門も同様だ。

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