顧客の言葉が聞こえるか
[前々回の文章の続き]
大事なことを顧客に聞くのは、そう簡単ではないようだ。できない人は何度言っても聞けていない。顧客は激怒する。
自分に都合良く解釈することがいけない。顧客は自分の都合とは合わないものだ。顧客の立場にたって素直に聞かなければ、顧客の言葉は理解できない。「あなたが言ったじゃないか」などと文句を言おうものなら、火に油を注ぐ。
顧客の言葉に耳を傾け、顧客の立場に立とうとして、初めて顧客の気持ちが分かってくるのだ。
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[前々回の文章の続き]
大事なことを顧客に聞くのは、そう簡単ではないようだ。できない人は何度言っても聞けていない。顧客は激怒する。
自分に都合良く解釈することがいけない。顧客は自分の都合とは合わないものだ。顧客の立場にたって素直に聞かなければ、顧客の言葉は理解できない。「あなたが言ったじゃないか」などと文句を言おうものなら、火に油を注ぐ。
顧客の言葉に耳を傾け、顧客の立場に立とうとして、初めて顧客の気持ちが分かってくるのだ。
自分の課題に関連する他社事例を知る機会は貴重だ。ところが、同じ事例を聞いても、参考にできる人と、参考にできない人がいる。
参考にできない人は、経験者がいつ何をしたかを聞き、それを真似ようとする。それが成功しそうでなければ参考にできない。事例を参考にできる人は、経験者が何を考えたか、なぜそうしたのかを聞く。したことを真似なくても、経験者の体験を共有することによって自分の視野が開けることに価値を見出す。
ビジネスは顧客志向でなければならない。それを目指して市場分析をし、ニーズに適合した商品を開発している。ところで、ニーズは想像や仮説で探るよりも、顧客に聞くほうがずっと確実だ。ただし、「あなたは何がほしいですか」などと聞いてはいけない。その質問は難しすぎる。
発売後、その商品を実際に買った人がいる。その顧客になぜ買ったのか聞いてみよう。思っていなかった理由のときも多い。それがチャンスだ。それを逃すな。
ハインリッヒの法則は、1件の死亡・重傷事故の影に29件の軽傷事故と300件のヒヤリがあるという内容だ。
事故が多ければ、軽傷事故だけでもある程度の件数になり、その防止策をとることが有効だろう。しかし、少し事故が減ると行き詰まる。事故は個別の原因で起こるからだ。しかし、ヒヤリには傾向があるはずだ。ヒヤリに手を打つことで、さらに事故を減らすことができる。ヒヤリに無関心だと、問題に気づかなくなってしまう。
あなたには最近身につけた能力はあるか?これは向上心の有無を問う質問だ。新入社員や異動直後の3年間ほどはいくつも言える。あなたがリーダーなら「あなたたち」が主語でもよい。何も答えが浮かばなければ要注意だ。
向上心がある人は、目標を持ちそれを実現するための努力をする。そして、3年あれば完全ではなくても何らかの具体的な上達を実現する。目標を持っていたころ、努力をしたころを思い出し、新たな目標を見つけよう。
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[6月1日の「入札結果の解説者」の記事への補足]
顔見知りの営業マンが自社の入札で敗者となったとき、断りの連絡をするのはつらいものだ。次の入札ではぜひがんばってほしいと思う。
しかし、業者選定の場面ではそんな心配をしてはいけない。自社の利益だけを考えて決める。業者との関係による事項も利益の一部だが、その全体を考えて判断する。
その結果敗れた営業マンには、誠意をもって説明するのだ。大事な業者に次こそはがんばってもらうためにも。それがお互いの利益なのだ。
プロジェクトの中でリーダーシップをとる条件がある。目標達成までの計画を最初に描くことだ。それをメンバーに納得させ、その計画を詳細化し、状況変化に応じて見直す。それでも、目標に向かっていれば、リーダーシップは維持される。
責任を引き受けなくても計画は描ける。しかし、メンバーを納得させられない。仮に、力で納得させたとしても、見直しが追いつかない。計画は挫折する。
リーダーシップは管理職にはぜひ必要な力だ。
機械化と省力化は同じではない。
定型作業は機械化すべきだと言う人がいる。ところが、人間には簡単でも、機械にやらせるのは難しい。結構大規模な開発になる。
最近は便利な道具がある。たとえばExcelだ。Excelを使って賞与計算が5日でできているとする。年に2回の仕事だ。それを機械化すると開発に5人月、運用に年1人月はかかる。機械化することによって何倍もの人力が要るようになる。こんなことはしてはいけない。
新しい仕事に取り組むときに、よく分かっている人を探そうとするが、そんな人はいない。少し似た経験をした人を見つけても、今度のケースとは違う。同じようにやればうまく行きそうな成功例は見つからない。
仕事とはそういうものだ。同じ企業は二つないし、同じ仕事も二つない。ただし、事例の一部分は参考になる。失敗も参考になる。参考になる点は、自らの計画に織り込める。そういう目で見れば、参考になる事例はたくさんある。
計画のない仕事とは、次に何をしようかと考え、思いついた順に実行するようなやりかたのことだ。10のステップがある仕事で、正しい順序で思いつく確率はゼロに近い。だから、手順を考えてから着手するのだ。
計画のとおりに実行されないなら真剣に考えないし、真剣に考えてないなら実行できる気もしない。計画のとおりに実行する努力が必要だ。それでも計画通りには行かない。実行した結果を見て、その後の計画をまた考えるのだ。
仕事はいつもうまく行くとは限らない。抜けたり踏み外したりもする。それでも、その時点で為し得る最善の努力をするのがプロだ。初めから正しく実行したようには出来上がらなくても、諦めずに最善の道を探り、それを実行するのだ。
当たり前のことのようなのに、できないのはなぜか。ひとつにはメンツを気にするから、あるいは楽をしようとするから、でなければ、情をかけすぎるからだ。やり直しを厭わず最善を尽くす努力をしよう。
必ずしも論理的でない結論がある。直感的に「こっちのほうがよい」と選択された場合はまだよい。具合が悪いのは、メンツにこだわって、あるいは過去のしがらみで選ばれた案だ。結論が適切に導かれていないとき、さした理由もなく「べき」が付いているのですぐ分かる。
企業での結論は自社のためになされる。それは損得であり、できれば顧客のためを考えたものでありたい。そのような検討でないとき、いきなり「べき」が付いてくる。
[朝日新聞の6月5日の社説を読んで]
朝日新聞は、A級戦犯が合祀されている靖国神社を日本の首相が参拝することを「許せない」と言う。靖国神社に参拝する人の肉親や友人を悼む思いを「自然だ」としながらも、参拝者は軍国主義者とでも言いたげな文脈だ。この傲慢さは何だ。
一方、反日運動に迎合したのは、無宗教の追悼施設建立の提案をしている人々だ。戦没者の追悼を否定し、命をモノのように扱おうとする。私は遺族ではないが、このような動きに大きな憤りを覚える。
[この文章は、井沢元彦氏の著作「逆説のニッポン歴史観」からヒントを得ました。]
聖徳太子が17条憲法を「和をもって尊しとなす」から始めたことでもわかるが、日本では古来より話し合いによる解決が望まれる。それが現在、競合を避け談合を容認する文化のもとになっている面はありそうだ。
ということは、談合を正義だと思って取り組んでいる人がたぶんいるのだ。これは、国際競争力をそいでしまう点で、日本企業の大きな問題だ。企業には、顧客のことを考えて真剣に戦う雰囲気が必要だ。左団扇は仕事ではない。
重要な購買では、調達先選定で入札をする。提案書と見積書を受け、それを評価して調達先を決める。
調達先を決めた後、負けた候補や検討の関係者に対して選定理由を解説する人がいる。それが公正さの証しだと思っているようだが、やめたほうがよい。
微妙な判断もある。それでも調達先は決めなければならない。そのとき、自社の利益だけを考えて決めればよい。あとの解説を考えると判断が鈍る。それは、意図的でなくても情実である。
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